Gâteau à la broche (ガトー・ア・ラ・ブロッシュ)
お正月のお菓子に
Gâteau à la broche
(ガトー・ア・ラ・ブロッシュ)を
求めました。
別名Gâteau Pyrénéen (ガトーピレネー)。
フランス南西の
ミディ=ピレネーと呼ばれる地方、
特にHautes Pyrenees県や
Aveyron県で見られ、
バウムクーヘンによく似ています。
ブロッシュとはフランス語で
焼き串のことですが、
円錐形の焼き型(串)に
ゆるい生地をかけて回転させながら、
暖炉の火で何層にも重ね焼されます。
生地はカトルカールと同様の構成で、
オレンジの花の水などで
香りがつけられたり、
オレンジのコンフィなどを
混ぜることもあるそうです。
円錐型に焼かれた姿は、
まるでもみの木のよう。
手焼きによって生み出される
鍾乳石のような凹凸が
なんとも素朴で美しいですね。
主に婚礼や洗礼式など
晴れの日に用いられるようです。
このお菓子の保存普及に努める協会は
オートピレネー県の
Arreauという町に置かれ、
毎年7月にはお祭りも催されるとか。
その大きさを競って、
ギネスブックにも
記録されているようです!
歴史をたどると、
16世紀にポーランドで作られていたとか、
18世紀末にプロイセン王の料理人が
作ったなどと言われますが、
このタイプのお菓子は
ヨーロッパ各地に存在します。
最も有名な
ドイツのバウムクーヘン以外にも、
ハンガリー・チェコ・
スウェーデンなどなど…。
フランスでの起源は
まだ掴みきれていません。
フランス国内では
日持ちのするお菓子として
巡礼者によって広まり、
アキテーヌ地方からミディピレネー、
ラングドック・ルシヨン地方の
各地で作られるようになったそうです。
私がこのお菓子の存在を
初めて知ったのは
河田勝彦シェフの
「フランス郷土菓子」の表紙の写真。
「ガトーピレネー」として
紹介されており、
ピレネー山脈付近のお菓子…と
頭にインプットされていましたが、
数年前にAveyron県の
クーヴェルトワラードという
城塞都市を訪問した際に
土産物店でも売られており、
なるほど広く南西部で
見られるのだな…
と知りました。
これがその時の写真。
河田シェフのご本にもあるように、
焼いている現場を見ることは
なかなか難しそうですが、
燃え盛る薪の火で
丹念に焼き上げる風景を
想像しながら
2022年のスタートのお菓子として
味わったのでした。
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