グジェールの歴史
グジェール(gougère)をご存知ですか?
チーズ風味のシュー生地で、
基本は中に何も入れず、
ワインのお供として
アペリティフなどにいただきます。
フランス・ブルゴーニュ地方の
郷土料理ですが、
最近では日本のレストランでも
アミューズとして出てきたりしますね。
このグジェールについての
本を読んでいたら、
その歴史について触れられていました。
長くなりますが、今日はそのお話を…
その昔、公国として栄えたブルゴーニュは
歴史的に豊かな食文化を持つ地域です。
その栄光の時代(1369年)に
フィリップ2世の元に嫁いだのが
フランドル地方のマルグリット女伯。
彼女が持ち込んだものとしては
パンデピスが知られています。
フランドル地方に伝わる
goyère (マロワールチーズのタルト)も
同様に伝えられ、
名前と形を少し変えて今に残っているのが
このグジェール…
と連想したくなるのですが、
実際には
さらに古い歴史を持つものだったようです。
時代はさらに遡り13世紀ごろ、
フランス各地にはチーズのお菓子として
goière とかgoyelleと呼ばれるものが存在し、
その流れを汲んだ呼び名が
グジェールと
考えられているとのこと。
お菓子のスタイルとしては、
この地方に古くから伝わる
ラムカン(ramequins)に似ており、
これが起源と考えるのが自然でしょうか。
(ちなみに普通ラムカンというと
ココット型を指しますね)
食物としてのラムカンは
歴史的には
薄いパイ生地を型の底に敷き、
その上にチーズやパセリを混ぜた
シュー生地を絞って
焼いたものだったようです。
(このスタイルは、
この地方のコルニオットという
お菓子にも似ています)
そのほかにはトーストパンの上に
チーズや内臓系のトッピングをして、
クリームをかけて焼いたものを
指すこともあるようですね。
グジェールという呼び名自体が
文献に認められるのは
18世紀中頃のようですが、
19世紀に入り、
ラムカンは単体で焼き上げたチーズシュー、
グジェールは王冠型に焼き上げた
チーズシュー…と、
形の違いを指すように
変化していったのだそうです。
今ではグジェールという呼び名が
定着している感がありますね。
その役割も
時代とともに変化している気がします。
かつては、
日曜のランチのデザートとして
食されていたそうですが、
今はアペリティフか前菜の
位置付けでしょうか…
「お菓子なのか、お料理なのか?」と
疑問に思う所以も
このへんにあったのかもしれません。
日本人的には
おせんべいのように
しょっぱいおやつとしても
受け入れられるなぁ…(笑)
このお写真は、
先日大森由紀子先生のレッスンを
復習した時のもの。
グジェールの中に
シュークルートを詰めた前菜です。
こちらは
グジェールにマッシュポテトを詰めた
フィンガーフード。
2年前の友人宅での
パーティー用に作ったもの。
ちなみにシュー生地自体は
1533年に
イタリアからアンリ2世の元に嫁いだ
カトリーヌ・ド・メディシスが、
シュー職人のポッペリー二を
お抱えとして伴ったことで
フランスに伝わったと言われており、
今のグジェールのスタイルの起源は
そのあたりかしら…と
楽しく想像しています。
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