天使のようなクレメ・ダンジュ
ロワール地方(Pays de la Loire)の街、
アンジェの郷土菓子Crémet d'Anjou(クレメ・ダンジュ)を作りました。
「クレメ」とは”クリーム”を、
「ダンジュ」とは”アンジュ地方(アンジェを中心とした周辺エリア)の”
…を意味します。
本来の主な材料は生クリームと卵白とされていますが、
最近ではフロマージュブランを合わせることも多いようです。
別々に泡立てた材料を混ぜ合わせ、
穴が開いた専用の容器にガーゼを敷き、
クリームをそっと包んで静かに水分を切って作ります。
ベリー系の赤いフルーツとの相性が良く、
その季節に合わせて春から夏に楽しむこのデザートは、
ふんわり軽い口当たりと乳製品の風味にフルーツの酸味が加わって、
とてもおいしいものです。
そのふんわり感からか、
日本では「クレーム・ダンジュ(天使のクリーム)」という名で
お店に並ぶこともあるようですが、あくまで商品名ですのでお間違いなく…(笑)
カタカナでは「ダンジュ」と同じ表現でも、
フランス語の綴りにするとd'Anjouとd'ange…全く異なります。
少し歴史に触れると…
このお菓子が登場したのは少なくとも19世紀。
1908年刊のこの地方の言葉を集めた辞典
「Glossaire de patois angevin」(A.J.Verrier、R.Onillon編)の中で触れられており、
「生クリームが変化(変質)したもので作る乳製品」
と説明されています。
他の資料から、当初は柳で編まれたカゴに入れて
売られていたことも伝えられています。
生クリームが運ばれる過程で、
振動により濃厚となり、お菓子へと変化していくのは、
イル・ド・フランス地方の「フォンテーヌブロー」というお菓子にも似ていますが、
大きな違いは卵白を入れるか否かですね。
上の写真は、3年前にフォンテーヌブローで頂いた
「フォンテーヌブロー」(ややこしい💦)。
研修に伺ったフレデリック=カッセル氏が用意してくださいました。
このお菓子の生みの親である、
バルテルミーというフロマジュリ(チーズショップ)のもの。
このお店はパリにもあり、そこで買うこともできます。
クレメ…もフォンテーヌ…も、
このようにお菓子屋さんよりチーズ屋さんで売られているのが基本です。
フロマージュブランや、生クリーム(クレーム・エペスと呼ばれる濃厚なクリーム)を
日本で手に入れるのは難しいと思いますので、
今回はこれらの軽さやコクと酸味を
無脂肪ヨーグルトと普通の生クリームで再現して作ってみました。
専用の型も欲しいところですが、
なくても十分作れますよ。
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